2013.10.21(Mon)

ニッチなところで勝つ!“家計簿市場”にチャレンジするDr.Wallet

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今回のインタビューは、レシートを撮って送るだけで99%以上の精度で人力データ化する家計簿「Dr.Wallet」を運営する株式会社Bear Tailの代表取締役社長 黒崎賢一さんにお話を伺いました!

「ひたすらネットに張り付いていた」高校時代

—インターネットに興味を持つようになったきっかけは?

中学生の頃、テレビは一日1時間、ゲームも一日1時間、という家庭内のルールがあって、PCも持っていなかったし、どちらかというと情報に敏感な方ではなかったんですが、(中学)3年生の時に、こっそり貯めたお金でPSPを買ったんです。その当時、PSPは改造することができて、その改造の手法がインターネットを経由しないと手に入らなくて。それで、PSPを改造したいがために、その後PCを買って、海外の掲示板等を見ながら、どうやって改造するかインターネットで情報収集するようになっていきました。ゲームというより、端末自体にものすごく魅力を感じて。PSPを改造するにはプログラミングの知識も必要だったので、その頃からプログラミングの勉強もするようになりました。
その流れで、TechCrunch等のWebニュースメディアも見るようになったんですが、そういったサイトで度々Googleのニュースリリースを目にするうちに、「この会社は世の中を豊かにしている」と感じるようになって。高校生の頃はGoogleに入りたいと思ってましたね。

—その後、ご自身もWebニュースメディアでライターをされていたと伺いました。

PSPの改造過程をずっとブログに綴っていたんです。海外のハック記事(より便利・効率的にするためのテクニックやノウハウを記事にしたもの)を翻訳して、日本のPSPコミュニティに配信したり。そのコミュニティは3,000人ぐらいの規模だったんですが、実はそこの管理者は高校生の僕だったんですよ。
それを見た雑誌社の方から、PSPの改造やセキュリティ周りの最新動向について、記事を書いて欲しいという依頼があって。それがライターを始めたきっかけです。
セキュリティってトレンドがあるじゃないですか。例えば、トロイの木馬(コンピュータウィルスの一つ)が流行ったり。そういった最新情報をウォッチしつつ、時には自分で攻撃ツールを作ってみて、「こういう攻撃ツールを使われないためには、このソフトを入れておくといい」といった記事を書いたり。
アルバイトとして良かったということもあるんですが、何よりも自分がやりたいことを評価してもらえている気がして、どんどんのめり込んでいきましたね。
当時の僕には経験もないし、文章力もない。そうすると、ネタ選眼能力みたいなことで勝つしかない。一秒でも早くいい情報にたどり着いて、すぐに日本語化して、まだ誰も知らないうちに編集部に記事を流す。高校生の時は時間が有り余っていたので、ひたすらネットに張り付いてました。
今でも時々CNETで海外の最新サービスについて記事を書いたりしているんですよ。

スマホが普及しつつある今だからこそできる仕事があるんじゃないか

—ライターから起業の道を選んだ理由は?

大学一年の時に、雑誌不況の波が来て、バタバタと休刊・廃刊になっていったんです。そんな時に、ある雑誌社から「紙からWebに転換したいから、立ち上げを手伝ってほしい」という依頼をいただきました。それで、システムの開発から記事の作成、記事配信先のアライアンスまで、全部一人でやりました。
スタートして一年間、必死に取り組んだおかげか、月間100〜150万PV(ページビュー)ぐらいまで成長し、だんだん(メディアとしての)影響力も出るようになっていきました。ただ、僕はあくまで雇われの身だったので、記事を書き続けないとその対価は入ってこない。「だったら、自分でやった方がいいんじゃないのか」と思うようになって。一人で生きていける自信ができたというか。それがきっかけですね。

—起業するにあたり、ご自身でニュースメディアを作ろうとは考えなかったんですか?

スケールする限界を感じていたんです。Webのニュースメディアって、すごく労働集約型じゃないですか。記事一本あたりで稼ぐことができるPVは限られているので、スケールしていくには一日の記事更新数を増やすしかない。当時は一日15本ぐらい(記事を)アップしていたんですが、それだけで一日いっぱいいっぱいになるんですよ。そうなると、自分と同じことをする人間を量産していくしかない。でも、それって本当に今やるべきことなんだろうか、と思ったんです。
正直、(Web)ニュースメディアでは原稿の質よりも速報性が優先される側面もあったりするので。僕がライターをやっていた時は、朝4時に起きて1,000個程度のRSSをチェックして午前中までに記事を6本アップして、お昼を食べた後6本アップして、自宅に帰った後3本アップして、という生活を休みなく繰り返していました。休み取りたいと思った時は、翌日のネタを事前に作らなければいけないので、前日に2倍働いて・・・。その一年間はかなりつらかったです。
アルバイトはいつでもできるものも多いだろうし、スマホが普及しつつある今だからこそできる仕事があるんじゃないかと思い、大学で優秀なメンバーに声をかけてスタートしました。

—それからDr.Walletにつながっていくわけですね。

最初は購入代行サービスをやろうとしていたんですよ。例えば、PCを欲しい人がいた時に、一番良さそうな商品を代わりに探して、購入手続きをして配送までしてあげる、それを自動化したサービスを作ろうとしていたんです。1年間そのサービスにトライしていたんですが、改めて思うのは「なかなか解けない課題を解こうとした」感があって。同じ予算10万円のPCでも、人によって「1日以内に欲しい」とか「このメーカーは嫌だ」とかいろんなオーダーがあって、最適化するのが難しい。もう少しパワーのある会社がやらないと、3人の会社でこの課題に取り組んでも厳しいんじゃないか、ということで、取り組むサービスを変えようという話になって。
その後1ヶ月ぐらい、アイデア出しと検証を繰り返して。3人ともコード書くの大好きなんで、各自がちょっとしたモック(試作品)みたいなものを作ってメンバーにイメージを伝えたり。
アイデア自体は100個ぐらいは出したと思います。Dr.Walletは僕がアイデアを出して。家計簿と聞くと「マーケットが小さいんじゃないか」「そもそも自分はつけていないし」といった意見が出てメンバーは半信半疑でしたが、なんとか説得して(笑)
今年の4月に開発を始めて、Android版を8月19日、iPhone版を9月2日にリリースしました。

—リリース後の手応えはどうですか?

リリースしてからいける感じはありました。リリースするまでは、本当に自分たちの仮説が正しいのか分からないじゃないですか。「どうやら仮説は正しそうだ」と思えるような手応えは感じることができています。使い始めて継続してくれているユーザーの割合とか、サポートに来る「ありがとう」の声とか、マーケットに書かれるレビューとか。それらを見て開発のモチベーションがかなり上がっています。今は自信を持って取り組んでいますね。

—Dr.Walletとしての目標があれば教えてください。

「使わないと人生損する」というサービスにしていきたいですね。使っている人と使ってない人だと人生の幸せ度が全然違う、といったような。例えば、僕からGoogleを取り上げられてしまうと何も知らない人間になってしまいますが、Googleがあれば情報を検索して知識を増やしていくことができる。そんな日常的に使われるサービスを目指したいと思っています。

—今後の機能追加等、話せることがあれば教えてください。

今はレシートを撮ることにインセンティブをつけたいと思っています。「使うと得する」もの。例えば、購買データが貯まっていくと、それに合わせた新しい購買提案が届く、等。クーポンなのか、キャッシュバックの案内なのか、より安い商品の提示なのか、そういったことを考えています。家計簿をつけてない人でも、つけ始めるきっかけになるようなものにしたいと思っています。

何かに本気でぶつかる経験を

—10代のうちにやっておいた方がいいことって何かありますか?

僕は普通の人と普通に戦ってしまうと勝てる気がしないんですよ。僕が通っている筑波大学は2,000人ぐらいの学生がいるんですが、その中で一番になれる感じが全くしない。高校でも下から数えた方が早かったぐらいですし。高校時代には、ある意味挫折というか、そういったことを感じて。それで僕は「周りと同じ事をしないようにしよう」と思うようになったんです。逆張り、と言うんでしょうか。
勉強でも運動でも勝てないけど、PSPのハードウェアとソフトウェア、インターネット新規サービスの知識では誰にも負けない。勝てる場所を作らないと生き残れない気がします。
「ニッチで勝つ」という考え方って大事だと思うんです。勉強と運動だけだと、誰しも自信を失くしてしまうと思うんですよ。僕もまさにそうですが。僕の場合はインターネットと出会って、生き残れる自信がつきました。

—挫折の経験って必要かもしれませんね。もちろん、ずっと勝ち続けることができる人は良いと思いますが。

ニッチなところ・小さなところだと、人ってがんばることができるんですよ。勝てる気がするので。何かに本気でぶつかる経験は必要だと思いますね。
今の家計簿市場はまだまだ成熟していないので、勝てる可能性がすごくあると思って取り組んでいます。

 
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