2013.08.16(Fri)

【特別インタビュー】インキュベーション施設ってなんだろう?

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今回のインタビューは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに隣接する慶應藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)のインキュベーション・マネージャー 世良信一郎さんにお話を伺いました!

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インキュベーション施設とは“起業家を育てる”施設

—そもそもインキュベーション施設とはどういうところなのでしょうか?

まだまだ日本では絶対数が少ないかと思いますが、いわゆる起業家を育てる施設です。
会社を立ち上げると、オフィスが必要ですよね?インキュベーション施設では立ち上がったばかりの会社にオフィスを貸しています。ただ、それだけだと不動産屋さんと変わらないので、合わせて私たちインキュベーション・マネージャーが経営支援をしているんです。会社を立ち上げる手続きとか、一緒に会社をどうしていくのか計画を練ったり、銀行からの融資やVC(ベンチャーキャピタル)からの出資といったお金の相談に乗ったり、製品・サービスを売る時の宣伝方法を考えたり。その会社が成長して卒業する(=インキュベーション施設を出る)ところまでお手伝いをしています。

—入居している会社は何社ぐらいあるんですか?

今は20社ぐらいですね。ここは慶應大学と連携しているので、他の施設と比べて年齢層は若いと思います。学生起業家もいて、最年少は19歳です。大学一年生で入ってきて、今二年生です。大学卒業して入って来る人も多いです。19歳〜20代後半ぐらいまでがボリュームゾーンですね。実はもうひとつボリュームゾーンがあって、それはなんと60〜65歳なんです。

—60〜65歳ですか!?

早期退職とか定年を迎えた人がサラリーマンの時に培った技術とか経験とか人脈を活かしながら創業する、という方がけっこういらっしゃるんですよ。団塊の世代はまだまだパワフルな人が多く、もう一花咲かせたいという想いがあるようです。60代の経営者の会社は7〜8社あるので、この施設の1/3以上になります。

—それはかなりビックリしました!入居者の審査ってあるんですか?

もちろん誰でも受け入れられるわけではなくて、審査をしています。年代によって求めるレベルは違うんですが、10〜20代だと、正直に言ってビジネスモデルはまだまだ粗い段階で来ることが多いので、そこは厳密には追求しないです。持ってる素材というか、技術力だったり、どちらかというと経営者の資質の方を重視してます。経営者が何を考えているのか、どんな技術を持っているか、この人のポテンシャルは何なのか、そういう可能性を見てますね。

—どんな業種の会社があるんですか?10〜20代の会社だとIT系が多いイメージですが。

慶応大学はITに力を入れているので、大学関連のベンチャーはほとんどIT系です。60代の会社はいわゆる「ものづくり」が多いですね。メーカー出身の方がサラリーマン時代の技術力を活かして、という感じです。

—学生起業家だと学業と兼務なので、特にIT系だと金銭的に追い込まれるようなことはあまりないと思うんですが、卒業後はいかがでしょうか?「日本では創業3年以内に7割の会社がなくなる」といった話もあります。

「ものづくり」の場合は少し違うんですが、10〜20代のIT系だと2つパターンがあって、完全に一発勝負で自分のサービスだけを磨いているパターンと、受託開発など会社を維持するための仕事をやりながら残りの時間を使って新規ビジネスを立ち上げていく、というパターンがありますね。日本の現状だとまだまだVCからお金を引っ張ってこれることが少ないので、後者のパターンで運営している会社も多いです。

—学生起業家だと人脈や営業力という点で難しい部分もありそうですがいかがですか?そういった営業活動もインキュベーション・マネージャーの方がサポートしてたりするんでしょうか?

意外と自分たちで獲って来るんですよ。というのは、ベンチャーをやるぐらいの学生って、ある程度開発力とかはあるんですよね。腕には自信があるというか。それぐらいないと、そもそも会社を作っても勝負できなかったりするんで。そうすると、口コミなのか自分の人脈なのか、意外と獲って来てますね。先ほどの19歳の学生の会社は、会社を設立する前にすでに個人事業主としてお客さんを抱えてたりしたんですよ。

—それはすごいですね!

ですので、私たちインキュベーション・マネージャーはそこはあまり心配していません。新しいビジネスの方のフォローが中心ですね。

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—この施設ができてどのぐらいなんでしょうか?

約7年です。入居期間は最長5年と決められてるんですが、これまで累計で約50社が卒業しています。そのうちの9割ほどが存続しているので、世間一般の確率に比べるとかなり高いです。卒業生の中で有名どころだとカヤックさんとかですね。その他、最近がんばってるところだと、今横浜で動画編集ソフトを作ってるロイロという会社とかもこの施設出身です。
少し話が逸れてしまうんですが、慶應大学内には、サロンに集まって事業計画を一緒に練ったりする、学生ベンチャーを育成するインキュベーターの手前のコミュニティがあるんですよ。そこで出たものを叩いて良さそうな段階になったら、インキュベーション施設に引っ張り上げたりしてます。実は「Life is Tech!」が生まれたのもそこなんです。

—慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)ではソフトウェア開発の授業もやってたりするんですか?

はい、あります。まず、一年の時の必修科目でC言語等を勉強します。まず入り口のところでITに触れる機会があるんです。その先は選択制で、技術をもっと追求したい人はそういった科目も用意されています。SFCの良いところは、それと同時にいわゆるアントレプレナー教育と言われるような起業家育成の授業も同時にやってるので、経営の勉強もできます。その2つがあると、IT系に特化して話をすれば、ある程度起業する素養は身につくんじゃないかと思います。

—なるほど。ちなみに、世良さんはなぜインキュベーション・マネージャーになろうと思ったんですか?

私は前職は特許事務所で、知財の専門家を目指していたんですよ。最後の数年間は、知財のコンサルティングの新規事業の立ち上げに携わっていたんですが、その時にたまたまこの施設(SFC-IV)の知財相談を受ける機会があったんです。そこで初めてインキュベーターというものを知り、その魅力に引かれたんです。
具体的に言うと、日本の国力を支えてるのはひとつは大企業ですが、次の大企業になり得るようなベンチャー企業を育てることって、将来の日本のためには絶対に必要なことだと感じていたんです。その手助けが知財という専門分野でできればいいなと思っていたんですが、実際のところ、知財というのはあくまで一部分で、経営というのはもっと大きなものなんですよね。インキュベーターという仕事だともっとできることがあるんじゃないかと思ったんです。

—「日本のために」という想いは学生時代からあったんですか?

はい、ありましたね。やっぱり親の影響は大きいですよね。私の父は山口出身なんですけど、「長州人」というか、小さい頃から「日本を守っていかなきゃいけない」とずっと教育されてきたんです。そこに対して反抗する部分もあったんですけど、やっぱりそういうマインドが根付いているというか。

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10代へのメッセージ

—今の学生に向けて、こういうことをやっておいた方がいいってことは何かありますか?

学生からもよく同じ相談をされるんですが、自分がやっておけばよかったと後悔してることが3つあるんですが、1つ目は英語ですね。これは皆さん言ってることなんで特に理由は必要ないと思うんですが。2つ目はプログラミング。自分が何か作りたいと思った時に自分でできちゃう、というのはものすごく大事なことだと思います。もちろん、将来就職する時にも役に立つということもあるかと思いますし。最後3つ目は、学生の時にどれだけできるか分からないんですが、意識しておいた方がいいのはやっぱり人脈なのかなと。これは別に学生の仲間でもいいですし、起業する成功パターンって学生時代の友達って多いと思いますし、そういう意味での人脈というのは学生時代からできると思うんですよね。会社の社長と繋がれ、というのは無理だと思うんですが、パートナー探し、みたいなことができるといいのかなと。
もっと言うと、大学で起業するんだったら、大学一年の方がいいんじゃないかなと思います。選択肢として大きいのは就職で、そうすると、大学三年の時には起業するのか就職するのか決めなきゃいけない。大学三年の時に起業すると、就職活動を始める時にはまだ結果が出てないんですよね。チャレンジするんだったら、やっぱりできるだけ早く始めた方がいいと思いますね。その方がムチャもできるだろうし(笑)

 
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